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『コードギアス・反逆のルルーシュ』非公認ファンブログ。二次創作SS(BL・女体化含)、イラスト、R18アリ。 pixivにて他ジャンルで活動中★

黒猫皇子と白狼騎士

ちょこっとルルコ。R2・その7 | main | ちょこっとルルコ。R2・その6
誓いの十字架
以前書いた、『君が僕にくれたもの』の同シリーズになっております。
パラレル・スザルルコで
ヴァンパイア・スザきゅ×エクソシスト(?)ルルコ・ネタ。

こちらのシリーズでは
ルルコは、モンスターを追い払い、人間たちを守るべく
エリア11(日本)へ派遣された『守護者』(ガーディアン)
スザクは、ルルコを守るために『血の契約』を結んだ
『ナイトメア』として描かれております・・・!

また、このお話は、7/20発行予定の新刊の『プレビュー』です。
同シリーズのお話(ショートマンガ)が掲載されておりますので
ご興味を持たれました方は、『いちごみるふぃーゆ』をご覧くださいv


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 ・・・誓うか?

 問いかけるは、凛とした声。

 迷いを許さず、拒絶を許さず、ただ、命ずるように。
 必要ない。

 やっとのことで、答えたぼくに、その声は言った。

 嘘、だな。

 だって・・・生きていても、仕方がないんだ。
 あの人が・・・オレの『天使』が死んでから。
 オレは、抜け殻のように、生き永らえてきた。
 あの人が愛した『人』を糧として。
 そんなオレに、どうして、生きる資格がある?

 つらつらと述べた理由を、その声は、一蹴した。

 オマエは、誰よりも、生きたかったんだ。
 例え、誰に罵られようとも、誰の命を犠牲にしようとも!
 だから、オマエは、ここに居る。

 揺ぎないその瞳は、ぼくを捕らえて離さず、ぼくに『事実』を突きつけた。

 でも、オレはっ!

 更なる拒絶を、その声の主は、許さなかった。

 誓え!
 そして、生きろ!
 それが、オマエが犠牲にしてきた者たちへの『償い』になる。

 厳しい言葉とは裏腹に、そっと、頬に添えられた手の温かさを、ぼくは忘れない。
 そして、その手が、震えていたことも。

 不思議な彩(いろ)を湛えたアメジストは、ぼくを映し、こう訴えた。

 逃げるな、と。

 そして、その日から、その少女は、ぼくの『主』(あるじ)となった。

『資格』が欲しければ、オレがくれてやる。
 それが、オマエの『使命』になるのだから。


誓いの十字架


 時は、皇暦二〇〇七年・所は、エリア11。
 神聖・ブリタニア帝国と呼ばれる国は、世界各地の、魑魅魍魎が跋扈する国々を、絶対的な『霊力』によって、治めることに成功した。
 これによって、強大な力を持つ悪霊やモンスターに、人々が苦しめられることは少なくなったが、各国に張り巡らされた『結界』にも、限界がある。
 そこで、時の皇帝・シャルル・ジ・ブリタニアは、自らの血を引く子供たちを、守護者(ガーディアン)として各地へ送り込み、結界内に入り込むモンスターの駆除に当たらせた。
 それぞれが選んだ、人とモンスターの、中間に位置する存在・ナイトメアを従者に付けて。

 ぼく、枢木スザクも、ナイトメアと呼ばれる者の一人だった。
 現皇帝・シャルル・ジ・ブリタニアが第三皇女・ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアのナイトメア。
 先天性・吸血鬼にして、人間の『精気』を糧とするぼくは、本来なら、人間の敵となる存在だった。
 しかし、七年前のあの日、ほんの気まぐれで助けた少女・ナナリーの姉が、ルルーシュだった。
 成り行きで、術者姉妹である彼女たちの『味方』をすることになってしまったぼくは、他のモンスターたちに『裏切り者』呼ばわりをされ、姉妹ともども、その周辺に居るモンスターの『標的』にされてしまった。
 人間の力を借りるなど、ぼくの好みではなかったけど、背に腹は変えられない。
 ルルーシュと共に、何とか、モンスターを撃退したときには、ぼくの力は、ほとんど残っていなかった。
 あとは、『死』を待つばかり、となったぼくに、ルルーシュは、言ったのだ。

 オマエのその力、人のために使うのなら、その糧をオレが与えよう。

 それは、『血の契約』だった。
 モンスターにとっては、耐え難い『屈辱』。
 人に使役され、人のためにモンスターと戦うことを、誓わされた者たち。
『ナイトメア』になれ、と彼女は言ったのだ。
 確かに、術者の血と精気は、モンスターにとって、最高の糧だ。
 しかし、それによって得た最高の『力』を、人間たちを守るために、使わなければならないのだ。
 これ以上の屈辱が、どこにあるだろう?
 もちろん、ぼくも、その命令を、全力で断った。
 あの日から、あの人を喪い、吸血鬼に変化したその日から、ぼくは、ぼく自身が滅ぶ日を待っていたのだ。
 だから、そのまま、死んでしまうのも悪くない、と思っていた。

 最期に、あの人が愛した『人間』を守って死ぬ。
 それならば、あの人と同じ場所へ行けなくても、あの人に誇ることが出来るかもしれない。
 だから・・・。

 でも、ルルーシュは、そんなぼくの甘い考えを、一蹴した。
 そして、死んでもいい、というぼくの願いを、真っ向から否定した。
 それは、ルルーシュの『自己満足』(エゴ)だったのかもしれない。
 当時、使役するナイトメアを持たなかったルルーシュは、皇室内でも、立場が弱かった。
 だから、体良くナイトメアを手に入れれば、一国の護りを任されるかもしれないことは、彼女がぼくの願いを無視するのに、充分な理由になる。
 でも、それだけじゃないことが、ぼくには、分かってしまった。
 生きろ、と言ったルルーシュの顔が、くしゃり、と歪むのを、見てしまったから。
 そして、ぼくに触れたルルーシュの手が、どうしようもなく震えているのを、感じてしまったから。

 ルルーシュは、ぼくに、死んで欲しくないんだ。

 ぼくには、そう思えてしまったんだ。
 何故、ルルーシュが、ぼくに・・・モンスターである、ぼくに、情を傾けてくれたのかは、ぼくには分からない。
 でも、それからのルルーシュは、ぼくに、色々なものをくれたし、もの凄く嫌そうな顔をして、ぼくのワガママを何でもきいてくれた。
 だから、ぼくは、あの時、『生』を選んだことを、後悔はしていない。
 未だ、あの時、ルルーシュが言った、ぼくが、生きたいと思っていることは、信じられないのだけど、もう少し、生きてもいい、と思えるようになった。
 ルルーシュが生きている間は、共に、この世に居てもいい、と思うようになった。
 ルルーシュが、この世に居られるのは、人間の寿命と同じだけ・・・何百年も生きてきた、これから先も、どれだけ生きるのか分からない『ぼく』にとっては、ほんの瞬きの間のことかもしれないけど。
 それでも、『死にたがり』だったぼくにとっては、大きな『変化』だったんだ。
 かつて、あの人が言った、人は変わっていく・・・という言葉が、ぼくにも当てはまるものなら、ぼくも、ルルーシュによって、変えられてしまったのだろうか?
 でも、それは、ぼくにとって、心地の良い変化だった。


◆◆◆


「・・・おい」
 凛とした声が、聞こえる。
「この、バカスザク!」
 声と共に打ち下ろされた手刀は、ぼくの頭上に、クリーンヒットした。
「~~~いったいなぁ、ルルーシュ。何すんだよっ」
 容赦のない攻撃に、一瞬、目の前がブレたぼくは、頭を押さえながら、ルルーシュの方へ向き直った。
 すると、ルルーシュは、口をへの字に曲げて、こう言い放つ。
「こんなときに、ボケッとしてるからだろ。・・・オレたちが、何故、夜中に学園内を見回りに出てるか、忘れたわけじゃあるまいな?」
 黙っていれば、お人形さんのように綺麗な顔と、誘うような紅を持つ唇から吐かれる言葉は、相変わらず容赦がない。
 それでも、それは、ルルーシュの魅力を、少しも衰えさせていないように思えるのだから、ぼくは『末期』なのかもしれない。
 ぼくは、未だ痛む頭を撫でさすりながら、ぼくたちの『使命』について、復唱した。
「この頃、夜中に学園内に現れては、生徒たちを襲うモンスターの始末。・・・忘れたわけじゃないよ」
 そう。
 ぼくたちがいる学園――私立・アッシュフォード学園は、トウキョウ租界内でも『鬼門』の位置に建てられたらしく、日本で言うところの妖怪や物の怪――モンスターたちの通り道にされてしまっていた。
 この学園が創立された四年前から、この地の守護者を任されたルルーシュは、昼夜問わず現れるモンスターたちの掃討を命じられている。
 妹のナナリーと共に、クラブハウスで生活させてもらうことと、学園に生徒として通わせてもらうことを条件に。
 ちなみに、ぼくは、外見年齢が一七歳のまま、止まってしまっているため、今年から、編入生として、この学園に通わせてもらっている・・・と言っても、ルルーシュと一緒に、この学園に来たのだから、勝手知ったるナントカという感じではあるのだけど。
 そういうわけで、ルルーシュと共に、学園内のモンスターを退治すべく、ぼくらは、夜も更けたころになって、学園内を見回ることになっていた。
 ルルーシュは、ぼくの返事が気に入らなかったらしく、口の中で、なにやら呟いている様子だったけど、ぼくは、見なかったことにした。
 彼女は、人に物を命ずるときは、驚くくらい高慢で高圧的な物言いをするくせに、自分の頭で物事を考えるときは、酷く臆病なのだ。
 ぼくが、嫌々、ルルーシュについていくはずなんかないのに。

 ぼくは、後ろからルルーシュを抱き締めると、そっと耳元に囁いた。
「・・・部屋に戻ったら、また、してもいい?」
 すると、ルルーシュの耳が、みるみる真っ赤に染まり、バカッと叫ばれる。
 ぼくは、そんなルルーシュの身体を撫でるように抱くと、ぱっと身体を離し、こう言った。
「『ごほうび』があった方が、がんばれそうなんだけどな~」
 あぁ、ルルーシュが、困っている。
 ぼくは、『食事』のときに、ルルーシュにした『いたずら』を思い出して、こっそり笑った。
 ぼくも、ルルーシュと逢ってから知ったことなんだけど、快感を覚えているときの、術者のエナジーは、物凄く美味しいんだ。
 だから、このごろでは、ぼくがルルーシュにエナジーをもらうときは、大抵、彼女の身体に『いたずら』を仕掛けている。
 深い口付けでエナジーをもらったり、最中に胸を触ってみたり。
 いつだったか、秘密の場所に手を入れたときなんか、ルルーシュってば、真っ赤になって身を捩るから、変なところに指が触れて、大変なことになってしまったんだ。
 でも、そのときのルルーシュは、とんでもなく可愛かった。
 普段は冷たいイメージすらあるアメジストが、とろりと蕩けて、白磁の肌は、薄紅色に染まる。
 人形のように綺麗なルルーシュが、『女』という生き物に変わる瞬間だ。
 ルルーシュも、そのときのことを思い出したのだろう、面白くなさそうに眉根を寄せて、口もますますへの字に曲げていた。
 それでいて、頬と耳だけは、やけに赤い。
 ぼくは、結局は、オーケーを出してくれるだろう、ルルーシュの葛藤を見つめながら、神経を研ぎ澄ました。
 時刻は、午前二時。
 件のモンスターの動きが、活発になる時間だ。


◆◆◆


 ザシュッ、と音がして、そのモンスターは、地に伏した。
 今回のモンスターは、若い女の子を攫っては、その子に不埒な行為を仕掛け、エナジーを奪っていたらしい。
 要するに、ぼくと同種――でなければ、淫魔の類だろう。
 人間の血肉を喰らうことなく、エナジーをいただくことの出来るモンスターは、あまり種が多くない。
 大抵は、その身体ごと体内に取り込むか、血を啜り、肉を食まなければ、糧とすることは出来ないのだ。
 でも、その中でも、ぼくのような『先天性・吸血鬼』と呼ばれる者や、『淫魔』と呼ばれる者は、『食べる』という行為をせずとも、人間のエナジーをもらうことが出来た。
 先天性・吸血鬼は、対象となる人間の肌に触れるだけで、その人間からエナジーをもらうことが出来る。
 頚動脈や心臓の上などは、効率良くエナジーをもらうことが出来るけど、絶対に、そこでなければいけない、ということはなかった。
 もちろん、後天性・吸血鬼――先天性・吸血鬼が、自らの血を分け与えることによって、吸血鬼化した元・人間のように、人間の首筋を噛み、流れ出る血からエナジーをもらう、ということも可能だった。
 淫魔は、人間と性交渉を行なうことによって、純度の高いエナジーを、接合部からもらうことになっている。
 この二つのモンスターは、似て非なる存在だった。
 淫魔であるらしいモンスターは、身体に大きな穴を開け、そこから赤黒い血を流している。
 先ほど、ルルーシュが負わせた怪我だ。
 背後から、言葉を掛けられた瞬間に、ルルーシュは、攻撃を始めていた。
 まるで、その相手がモンスターであることを、初めから知っていたかのように。
 整った容貌と、すらりとした長身。
 なるほど、こうも『人』と変わらない姿をしていれば、女生徒が簡単に騙されるわけだ。
 ルルーシュに『迷い』がなかったのは、幸いだったのかもしれない。
 ぼくは、ぼんやりと、そんなことを思った。
 そのモンスターは、ぼくの姿を認めると、妖怪たちがぼくに付けた『あだ名』を呼んだ。
「枢木のが・・・人間側に付いた、というのは、本当の話だったのか・・・」
 ぼくは、ぼくが思っている以上に、『有名人』だったらしい。
 ぼく自身が知らない相手から、あだ名を呼ばれるのは、これが初めてではなかった。
 ぼくより一歩前に立って、モンスターと対峙するルルーシュの肩が、ピクリと反応した。

 あぁ、またか。

 ぼくは、沈うつになる気持ちを抱えながら、それでも、表情には出さず、モンスターに言った。
「そうだよ・・・今は、枢木スザク。ここにいらっしゃるルルーシュ皇女のナイトメアだ」
 すると、モンスターが、驚きの表情でぼくを見る。
「何と! このような小娘に、貴殿が憑いたというのか・・・我々妖怪の中でも『高位』とされる『先天性・吸血鬼』の貴殿が・・・!」
 ぼくは、イライラとする気持ちを抱えながら、そのモンスターに言い放つ。
「全く・・・これだから、口の利き方を知らないモンスターは困るんだよ。・・・ぼくが誰に憑こうと、ぼくの勝手。キミなんかに指図される謂れはないんだよ」
 そう言って、ぼくは、ルルーシュを自分の方に抱き込んだ。
「・・・こいつ、ぼくが、とどめを刺してもいいかな?」
 身体を小刻みに震わせて、動かなくなってしまったルルーシュに、ぼくは、小声で問いかける。
 反応だけは、素早く出来るように、神経を研ぎ澄ませながらも、殺気は外へ出さない。
 ルルーシュは、まだ、動かなかった。
 返事を待つのは、やめた方がいいかもしれない。
 何故なら・・・。
「貴殿に、プライドはないのかっ? この裏切り者っ! 人間の小娘など、我々にとっては、ただの食糧! それを、逆に使役される立場になるなどと・・・っ」
 思った通りの言葉を吐いたモンスターに、ぼくの忍耐力は底をついた。
「オマエは、この『世界』から、消えろ!」
 口から出た言葉を呪文にして、モンスターを外界へと弾き飛ばす。

 これだから、口が達者なモンスターは嫌いなんだよ・・・。

 そう思いながら、ぼくは、この世界と外界を繋ぐ『門』を閉じる呪文を唱えた。
 シュウゥゥ、と音がして、何もないはずの場所に開いた穴が閉じる。
 ルルーシュは、ようやく自分を取り戻したのか、顔に手を当てると、ぼくの手を振り払った。
「・・・ご苦労だったな、スザク」
 冷たく言い放つ姿は、我が君のもの。
 そして、震える指先は、まだルルーシュが、一七歳の少女であることを、ぼくに教えてくれる。
「ホント、力使っちゃったから、お腹ぺこぺこ」
 努めて明るく返しても、ルルーシュは、仮面を外そうとはしなかった。
「好きなだけ、褒美を取らそう」
「ルルーシュ?」
 ぼくが、ルルーシュの顔を覗き込むと、ルルーシュは、フ、と笑みをこぼして言った。
「・・・それとも、オマエが望むのは、解放か?」
 ぼくは。
 先ほど、外界へ追い払ったモンスターに、何故、もっと早くとどめを刺さなかったのか、と思った。
 表面だけを、無表情の仮面で覆いつくしたルルーシュは、瞳だけを紅く染めて、ぼくを見た。
「アイツも言っていただろう?・・・人間などに、使役されるなど、モンスターの面汚し。ナイトメアは、モンスターの裏切り者なのだよ・・・っ」
 ルルーシュは、言いながら端正な顔を歪め、最後には悲痛な叫びを上げながら、瞼を固く閉じた。
 握り締めた拳が震え、ぼくは、そんな彼女を、じっと見つめる。
 あの日。
 ルルーシュが、ぼくを『ナイトメア』にした日から、こういうことは、幾度となく繰り返されてきた。
 エリア11に入り込むモンスターのほとんどは、ぼくが、彼女の『ナイトメア』であることを知ると、皆、口を揃えて『裏切り者』と言う。
 妖怪の、高位に立つ者が、妖怪を裏切った、と。
 でも、それは、真実ではなかった。
 彼らは、モンスターたちは、本当のことを知らないから、そんなことが言えるんだ。
『先天性・吸血鬼』。
 ぼくと同種の者のほとんどが、かつて『人』であり、『人』と共に暮らしていた、ということを。
 何らかの原因で、吸血鬼化したぼくは、人の血を啜り、人からエナジーをもらう存在になってしまったけれど、元は、人間だ。
 もう、普通の人間みたいに、食べ物から栄養を採ったり、歳を取ることも、子供を作ることも出来なくなってしまったけれど。
 それでも、人と同じ『感情』を持っている。
 だから、ぼくは、それに気付かせてくれたルルーシュに逢えて、彼女の支配下に置かれて、本当に幸せなんだ。
 それなのに、心無い言葉で、ルルーシュの心を傷つける。
 死にたがっていたぼくを、ムリヤリ生きさせてしまった、と思っているルルーシュに、一番酷い言葉を投げかける。
 いつからか、ルルーシュは、ぼくが自分の側にいるのは、契約のせいだと思い込むようになってしまった。
 確かに、生きていても仕方がない、と言ったのは、ぼくなんだけど。
 それでも、ぼくは、生きてもいい、と思った。
 ルルーシュと一緒なら、生きてもいい、と思った。
 だから・・・。

「ルルーシュ」
 ぼくは、ルルーシュの名前を呼ぶと、彼女の右手を取った。
 そして、そのまま、向かい合わせにひざまずき、手の甲へと口付ける。
「・・・スザク」
 ルルーシュの声が、弱々しくぼくを呼ぶ。
 ぼくは、ルルーシュの顔を見上げると、ひざまずいたまま、こう言った。
「何度でも誓うよ・・・我が力は、人のために、力の源は、我が君の下に。血の契約において、我が君の御心(みこころ)のままに・・・」
「・・・スザクッ」
 ルルーシュが、ぼくを呼ぶ。

 ぼくの『忠誠』が試されるのなら、何度でも答えてあげる。
 それで、キミの気持ちが、ほんの少しでも安らぐのなら・・・。

「この胸の十字架に懸けて、我が君を守護せんことを・・・」
「違うっ」
 ルルーシュの声が、ひっくり返った。
 ぼくが、言葉を止めると、ルルーシュは、地に膝を着いた。
 ルルーシュは、両手で、ぼくの頬を挟みこむようにして持ち上げると、鼻の頭にそっと口付けた。
「・・・解かってなかった・・・本当の意味で・・・使役とは、支配とはどういうことか・・・個人の意思を無視して、絶対的な命令を下す・・・それが、支配だ」
 ルルーシュは、低い声でそう呟くと、ぼくの制服のタイを解き始める。
「!・・・ルルーシュ?!」
 ぼくは、ルルーシュのしようとしていることが、分からなかった。
 いや、分かりたくなかった、と言った方が正しいかもしれない。
 ルルーシュは、タイを解き終えてしまうと、続いてシャツのボタンを外し、ぼくの上半身を露わにさせた。
 本当なら、嬉しいはずのこの状況を、ぼくは喜べない。
 何故なら、それをしているルルーシュの顔が、本当に苦しそうな表情をしているからだ。
「・・・スザク。信じてもらえないかもしれないが、オレは、オマエに、死んで欲しくなかっただけだ・・・だから、オマエを『ナイトメア』にした。・・・オマエが、エナジーを切らすことのないように・・・他の人間を糧にしなくても済むように・・・だが、それは、同時にオマエをオレに縛ることになった・・・意思もプライドも全部、置き去りにして、オマエは、オレに尽くそうとする。どうして、それが、生きていると言える?・・・オレは、オレは、こんなことのために・・・っ」
 言いながら、ぼくの胸に右手をかざしたルルーシュを、ぼくは、全力で止めた。
「・・・ルルーシュっ」
 ルルーシュは、誓いの証を、消そうとしていたのだ。
 ナイトメアは、その左胸に、大きな十字架を刻まれる。
 術によって刻まれた十字架は、術者にしか消せない『誓いの証』。
 術者にその身を捧げ、忠誠を誓う、血の色をした紋章。
 モンスターが、誓いを破れば、その紋章が火を噴く、という仕組みだった。
 ぼくは、ルルーシュの手を握りこむと、首を横に振った。
「ルルーシュ・・・ぼくが、キミに忠誠を誓ったのは、ぼく自身の意思だ。ぼくはね、とっくの昔に知っていたんだよ・・・ルルーシュ、キミがぼくを『ナイトメア』にした本当の理由を・・・」
「・・・スザク?」
 驚きに、目を見開くルルーシュに、ぼくは、微笑みかけた。
 ルルーシュが、思い出させてくれた、ぼくの笑顔だ。
「ぼくに、生きて欲しかったんだろう? だから、キミは、ぼくに『生きる理由』をくれた。キミに仕え、キミに尽くし、キミを守る。それが、ぼくの生きる理由。ぼくが選んだぼくが生きる理由」
 ルルーシュは、首を横に振る。
「それは・・・オレの『エゴ』だっ」
 ぼくは、ルルーシュを抱き締めた。
「エゴでも何でも、ぼくは、生きている。・・・ぼく自身の意思で」

 分からず屋のキミに、何て伝えればいい?

 ぼくは、必死に言葉を探した。
「・・・それとも、ルルーシュは、キミを守るために生きる、と言ったぼくの意志まで無視をするのかい・・・?」
 探して、探して、こんな言葉しか言えないぼくを、ぼくは嫌だと思った。
「スザク・・・?」
 ルルーシュが、ぼくの顔を見上げる。
 ぼくは、出来るだけ、優しい笑顔を作れるように、努力した。
「疲れてるんだよ。・・・早く帰って、部屋で休もう。元気になったら、そんな悩み、すぐにどこかへ消えてしまうから」
 ぼくは、ルルーシュの肩を抱いて、クラブハウスの建物に戻るよう、促した。
 ルルーシュは、ほんの少しだけ、ぼくに体重を預けると、こう言った。
「・・・強制はしない」
「分かってる」
 歩きながら、ぼくたちは、短い文で会話を交わす。
「選ぶのは、オマエだ」
「・・・何度訊いても、同じだよ」
 試すように、繰り返される言葉に、『肯定』の意思を込めて、ぼくは、ルルーシュの『不安』を取り除く。
「スザク・・・」
「何?」
「オマエの名を呼ぶのは、オレでいいのか?」
 ルルーシュの問いに、ぼくは、訳も分からず頷いた。
「キミがくれた名前だよ・・・キミが呼んでくれなかったら、ぼくは、いつまでも『名無し』のままだ」
「っ・・・それは困るな」
 何故だろう?
 今、ルルーシュが、吹き出したような気がした。
「そうだろう?」
 それでも、ぼくは、会話を繋ぐ。
 ルルーシュに、『否定』の隙を与えないように。
「そうだな」
 そう言ったルルーシュの声からは、さっきの弱々しさが消えていた。
 嬉しくなったぼくは、調子に乗って、ルルーシュに話しかける。
「ルルーシュ」
「何だ?」
 疑問符を浮かべるキミに。
「早く、キミを食べたい」
「バカッ」
 冗談めかした言葉をかける。
「じゃあ、キミを抱き締めたい」
「・・・勝手にしろ」
 闇の中でも、ぼくの目がよく利くことを、忘れてはいないだろうか?
 プイ、と横を向いたキミの頬が、赤く染まっているのを、見逃すはずがない。
「勝手にさせてもらうよ」
 嬉しい気持ちを込めて言うと、ルルーシュは、耳まで赤く染めてくれた。


 何度でも誓うよ、この胸の十字架に懸けて。
 ぼくは、キミだけのもの。
 キミだけの『ナイトメア』だ。

fin 

-----------------------------------------------------

ご存知の方もいらっしゃる思いますが、このSSは、元はアンソロジー
掲載作品でした。
しかしながら、そのアンソロジーは、主催者さまのご都合により
ほとんど世に出ない・・・という、大変、残念な結果に終わって
しまいました☆

そんなワケで、時期を待ち、こちらの方で、全文再録をすることに
いたしました。
(副主催者さまのお話では、2008年6月以降の再録はOKということ
でしたのでw)
また、このSSを再録、同シリーズショートマンガを掲載した
いちごみるふぃーゆ』が、7月に発行されることに決定しました!!

私としては、ブログ→アンソロ→アンソロへとシリーズ化した
大切な作品でしたのでこうして、皆さまの元へお届けすることが
出来て、とても嬉しく思います。。。

過去のことはさておき、新しい気持ちで、このシリーズを続けて
いけたら・・・と思いますw

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| ヴァンパイア・スザきゅv | 12:00 | コメント:0
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